車椅子の人が活用できるレンタカーとは?レンタカーの使い方や料金などを解説!
車椅子の人のなかには、移動する際に不便を感じた人もいることでしょう。不便を解消する手段として車の購入、レンタカー利用などがあります。
車の購入となると、相当な費用がかかり維持することが困難。レンタカーは利用する期間の料金を払えば利用できるため、そのような点で便利といえます。
しかし、車椅子の人がレンタカーを利用する方法について、知らない人もいるのではないでしょうか。
本記事では、車椅子の人が活用できるレンタカーの利用方法や料金などについて解説しています。
ぜひ、最後までご覧ください。
車椅子の人が活用できるレンタカーとは?
車椅子の人向けのレンタカーを取り扱っている会社がいくつか存在しますが、利用料金やサービス内容など、それぞれに異なります。しかし、車椅子の人向けのレンタカーについて、具体的に知らない人もいることでしょう。
車椅子の人が活用できるレンタカーとは、車椅子の人でも利用できるように福祉装備を搭載した福祉車両をレンタルできるサービスのことです。
ここでは、車椅子の人が利用できるレンタカーの特徴や需要について解説していきます。
車椅子の人向けのレンタカーで活用される福祉車両の特徴
車椅子の人が乗り降りしやすい福祉車両には、いくつかの種類があります。
車椅子の人の移動手段としての利便性が、優れた車といえるでしょう。
しかし、福祉車両は一般的な車と比べて高価で用途も限定されるため、購入に躊躇してしまう人もいることは事実。例えば、福祉車両の用途として高齢者の買い物や私事の用事、病院受診、福祉施設の利用などが挙げられます。
レンタカーの場合は、利用する期間の料金、燃料代を支払えば原則用途を限定せずに利用できるため費用負担の軽減につながります。
しかし、事前に在庫状況の確認、予約をしなければならないため注意が必要。また車椅子の人向けのレンタカーは、主にストレッチャーや車椅子のまま昇降する車と車椅子を収納し乗車する車の2種類に分類されます。
そのため、車椅子の人向けのレンタカーは利用者のニーズに合わせた選び方と使い方をしなければなりません。
レンタカーの福祉車両は福祉装備を搭載していますが、車椅子の人や障害のある人のニーズに合致していることが重要です。福祉装備とは、車椅子の人や障害のある人が車に乗り降りするための装備であり、具体的にはスロープやリフトが挙げられます。
福祉車両の特徴については、下記の記事をご覧ください。
車椅子の人向けのレンタカーの需要
厚生労働省によると、2018年時点で障害者数が約149万人増加しています。
さらに、一般社団法人 全国レンタカー協会のまとめたデータでは、全国レンタカー車両数は2002年と比較して2022年時点で、約3倍の921,688台という結果でした。
2020年以降、レンタカー台数の推移が頭打ちしており、需要の停滞が懸念されます。
このような社会的背景から、レンタカー業界では今後も需要の伸びが一時的に停滞することが予測される一方で、障害者の人口が爆発的に拡大。したがって、車椅子が搭載できる福祉車両の供給に対する需要が不足していくことが懸念されていることがわかります。
車椅子の人が利用するレンタカーの利用方法
車椅子の人が利用するレンタカーの特徴や、需要について理解できたところで次は利用方法について解説します。
障害者や車椅子の人が日常生活や一時的な用途で主に用いられる福祉レンタカー。車椅子の人向けのレンタカーを利用する場合は、直接最寄りのレンタカー店舗に問い合わせることをおすすめします。
もし、ご本人が相談しにくい環境であれば、家族もしくは代理人から問い合わせましょう。
原則レンタカーには車種によってクラス分けがあり、車の装備・料金・乗車可能人数などが異なります。
また、店舗によって福祉レンタカーの取り扱いの有無、利用方法など知らない人もいることでしょう。
どうすれば車椅子の人や障害者が利用できるのか、利用方法について、下記にまとめました。
⒈事前にレンタカー会社に予約
⒉利用する当日に店舗で手続き
⒊スタッフと共に車の傷などの状態確認後出発
それでは、詳しくみていきましょう。
事前にレンタカー会社に予約
レンタカー会社は、原則ホームページもしくは電話で予約ができます。
しかし福祉レンタカーの場合は、事前予約は電話で行わなければならないため注意が必要です。具体的な予約する手順を下記にまとめました。
⒈利用するレンタカー会社を決める
⒉店舗に連絡して福祉レンタカーの空き状況の確認
⒊電話で事前予約する
まず、利用するレンタカー会社を決め、その際に福祉レンタカーの取り扱いの有無を確認しましょう。
次に店舗に連絡して空き状況の確認をし、空きがあれば電話予約します。
利用する当日に店舗で手続き
事前予約した後、利用する当日に店舗に行きます。店舗の窓口で利用手続きを行う。
免責補償やオプションの選択や料金支払いなど、スタッフと手続きをします。
免責補償に加入すると事故時の事故負担軽減ができる。またオプションで装備を選択できるので費用面で余裕がある場合は、免責補償とその他のオプションをつけることをおすすめします。
スタッフと共に車の傷などの状態確認後出発
事故対応などの注意事項について、スタッフから説明されます。
その後に、利用する車に案内されます。スタッフと乗車前の状態確認をして出発。車の傷などの状態確認を怠ると、事故以外で発生した傷(飛び石など)を指摘されて費用を請求されるケースがあります。
そのため、出発の前の確認の際はしっかり確認するよう注意しましょう。
車椅子の人向けのレンタカー料金
車椅子の人や障害のある人向けのレンタカーの料金は各レンタカー会社によって異なります。
さらに福祉装備の種類や車種によっても料金体系に違いがあるため注意が必要。ここでは、全国に展開するトヨタレンタカーを例に挙げて紹介していきます。
車椅子利用者向けのレンタカーの代表的な車種の各クラスについては、下記のとおりです。
●エコノミー(ラクティス)
●エコノミープラス(シエンタ)
●W1クラス(シエンタ)
●W2クラス(エスクァイア・ノア・ヴォクシー)
そして下表にまとめた内容が、トヨタレンタカーの福祉車両のレンタル基本料金体系です。
免責補償料金やその他のオプション料金は別途発生し、それぞれのレンタカー会社によって、料金体系に違いがあるため事前に確認しましょう。
エコノミー
エコノミーの主な車種はラクティス。5人乗りですが比較的広く感じる車内となっています。
コンパクトであり、運転しやすいのも特徴といえるでしょう。車の大きさや料金面で見ても比較的利用しやすいクラスです。
エコノミーの基本料金(非課税)は、下表のとおりです。
6時間まで | 12時間まで | 24時間まで | 以降24時間ごと | 超過料金 | |
通常料金 | 5,000円 | 5,000円 | 6,500円 | 5,500円 | 1,000円/時 |
北海道夏季料金 | 7,500円 | 7,500円 | 9,500円 | 7,000円 | 1,300円/時 |
沖縄ハイシーズン料金 | 6,000円 | 6,000円 | 7,800円 | 6,600円 | 1,200円/時 |
東京ハイシーズン料金 | 5,500円 | 5,500円 | 7,150円 | 6,050円 | 1,100円/時 |
エコノミープラス
エコノミープラスの主な車種はエコノミーと比べると車体が大きく、5人乗りのシエンタもあります。そのため、料金も少し高くなっています。
基本料金(非課税)を下表にまとめました。
6時間まで | 12時間まで | 24時間まで | 以降24時間ごと | 超過料金 | |
通常料金 | 6,000円 | 7,000円 | 8,500円 | 7,000円 | 1,000円/時 |
北海道夏季料金 | 8,500円 | 9,000円 | 1,100円 | 9,5000円 | 1,400円/時 |
沖縄ハイシーズン料金 | 7,200円 | 8,400円 | 10,200円 | 8,400円 | 1,200円/時 |
東京ハイシーズン料金 | 6,600円 | 7,700円 | 9,350円 | 7,700円 | 1,100円/時 |
W1クラス
W1クラスの主な車種はエコノミープラスと同じシエンタですが、こちらは年式が違う型式も含まれます。
基本料金(非課税)を下表にまとめました。
6時間まで | 12時間まで | 24時間まで | 以降24時間ごと | 超過料金 | |
通常料金 | 7,000円 | 9,000円 | 12,00円 | 9,000円 | 1,500円/時 |
北海道夏季料金 | 9,000円 | 11,500円 | 15,500円 | 11,000円 | 1,800円/時 |
沖縄ハイシーズン料金 | 8,400円 | 10,800円 | 14,400円 | 10,800円 | 1,800円/時 |
東京ハイシーズン料金 | 7,700円 | 9,900円 | 13,200円 | 9,900円 | 1,650円/時 |
W2クラス
W2クラスの主な車種はエスクァイア・ノア・ヴォクシー。それぞれ車種・年式に違いはあるが、料金は同じ金額となっています。
基本料金(非課税)を下表にまとめました。
6時間まで | 12時間まで | 24時間まで | 以降24時間ごと | 超過料金 | |
通常料金 | 13,000円 | 14,000円 | 19,000円 | 14,000円 | 2,000円/時 |
北海道夏季料金 | 17,500円 | 20,500円 | 25,000円 | 19,000円 | 2,600円/時 |
沖縄ハイシーズン料金 | 15,600円 | 16,800円 | 22,800円 | 16,800円 | 2,400円/時 |
東京ハイシーズン料金 | 14,300円 | 15,400円 | 20,900円 | 15,400円 | 2,200円/時 |
車椅子利用者におけるレンタカーの手続き
例として挙げたトヨタレンタカーの料金体系から、車椅子用レンタカーの料金相場の目安についても理解できたことでしょう。
次に、車椅子の人や障害者がレンタカーを利用する際の手続きを紹介します。
そもそも、店舗での利用手続きについて分からない人もいることでしょう。まずは、主な手続き内容を下記にまとめました。
●身分証明書などの必要書類提示
●利用期間、返却方法の確認
●免責補償加入の有無を決定
●料金の支払い
●事故対応など注意事項の確認
それでは、詳しくみていきましょう。
介護車両をレンタルする具体的な方法やメリットなどについては、下記の記事をご覧ください。
身分証明書などの必要書類提示
原則、レンタカーは運転免許証などの必要書類を提示すれば利用できます。
ただし車椅子の人や障害者は、運転免許証のほかに障害者手帳なども提示しなければなりません。
求めに応じて、必ず提示しましょう。
利用期間、返却方法の確認
まずスタッフから利用期間の確認、返却方法の説明などがあります。
返却する直前に、最寄りのガソリンスタンドで満タン給油して返却。給油時間や到着までかかる時間を考慮して、時間に余裕を持って行動しましょう。
免責補償加入の有無を決定
店舗での手続きでスタッフから、免責補償制度を利用するかの確認をされます。
免責補償とはレンタカー利用時に加入する保険に「免責金額」が設定されていた場合、本来なら利用者が負担するべき免責金額を免除する制度のこと。免責補償は任意ですが、利用しない場合は事故が発生したときの免責金額を利用者が負担しなければならないため注意が必要です。
免責補償制度についての説明を聞き、加入する・加入しないの判断しましょう。
料金の支払い
免責補償制度の加入の有無を決めたあと、利用にかかる合計金額を支払います。
原則、「利用時間基本料金+免責補償料+オプション料」の合計金額。ただし、燃料費は含まれていないため、返却時に自己負担で燃料給油しなければならないことに注意しましょう。
事故対応など注意事項の確認
料金支払い後、事故対応などの注意事項をスタッフから説明されます。
また、口頭だけでなく原則レンタルする車に事故時のマニュアルが用意されているため、事故時の連絡や具体的な対応方法について把握してから運転しましょう。
レンタカーにおけるおすすめの選び方は?ピンポイントで車椅子利用者の悩みを解消
車椅子の人や障害のある人向けのレンタカーを利用することは、経済的な負担軽減につながるだけでなく、移動手段としての利便性向上にもつながります。
しかし、それぞれのレンタカー会社で取り扱いが異なるため、どれを選べばよいのか分からないという人もいることでしょう。ここからは、車椅子の人や障害のある人向けのレンタカーでどれを選べばよいのかピンポイントで解説します。
結論からいえば、リアリフト搭載の車種がおすすめです。スロープでも乗り降りできますが、リアリフトのほうが簡単な操作で昇降するため、快適にレンタカーを利用できるでしょう。
車椅子の人と家族双方の負担軽減に大きくつながるためメリットが大きいところは特徴的といえます。
ちなみに、利用される車椅子の人や障害のある人が自力で運転を希望される場合は、運転補助装置付き福祉車両がおすすめ。足が不自由な人でも運転可能な手動でのアクセルやブレーキ、ハンドリングの補助が行える装置だけでなく、片手だけで操作可能なハンドル旋回ノブなどの装置が装備されています。
それぞれの持つ身体の不自由さや状況に応じてレンタルする福祉車両を選ぶことが重要。そのようなレンタカーがあるからこそ、車椅子の障害のある人の自立心・移動の利便性を両立させるメリットが大きいといえます。
まとめ
今回は、車椅子の人が活用できるレンタカーおよびその利用方法・料金などについて解説してきました。
レンタカーの手続きをする際の注意事項や車の選び方などについても紹介しましたが、車椅子の人や障害者の日常生活において福祉車両のレンタカーを利用することは本人だけでなく、家族にとっても負担削減につながるためおすすめです。
日常生活で活用できるレンタカーですが、車椅子の人の目的と用途に合致したレンタカーを選ぶことが重要です。