安全性の高い車はどれ?高齢者にも安全な自動車の選び方

「親の運転が心配。でも、車がないと買い物にも行けない…」 「最近、駐車で焦ることが増えた。まだ運転はやめたくないけれど」
安全な車を探している本当の理由は、車を“強くする“ことではありません。日常のヒヤリを減らして、家族も自分も“安心して暮らす“ためです。
この記事では、感覚ではなく客観的な評価指標(JNCAP/サポカー)で候補を絞り込み、最後は身体の変化や家族構成まで含めて、後悔しない1台を選ぶ方法を解説します。
「安全な車」の正体:守る×避ける×助けを呼ぶ、の3層構造
安全装備は、登山の装備に似ています。
- ● 守る(衝突安全)=ヘルメット。万が一のダメージを減らす
- ● 避ける(予防安全)=地図・天気予報。危険を未然に回避する
- ● 助けを呼ぶ=ビーコン。事故時に素早く救助を要請する
この3つを同時に評価しているのが、国土交通省とNASVA(独立行政法人自動車事故対策機構)が運営に関わる**「自動車安全性能評価(JNCAP)」**です。2020年度以降は、予防安全・衝突安全・事故自動緊急通報装置の3項目でテストされています。
つまり、「安全な車」とは、事故を防ぐ力と、起きても被害を最小化する力、両方を備えた車ということです。

高齢ドライバーが優先すべき”5つの安全機能”
年齢とともに増えやすいのが、「操作ミス」「見落とし」「判断の遅れ」。だからこそ、ミスを“なかったことにする“機能から優先すると失敗しません。
- 1.衝突被害軽減ブレーキ(対車両・対歩行者)
前方の車や歩行者を検知し、衝突の危険があれば自動でブレーキをかける機能。交差点での右左折時や、住宅街での飛び出しに有効です。
- 2.ペダル踏み間違い急発進抑制(誤発進抑制)
75歳以上のドライバーで踏み間違い事故の割合が高いというデータがあります。駐車時や発進時に、アクセルとブレーキを踏み間違えても、急加速を抑制してくれる機能です。
- 3.車線逸脱警報/車線維持支援
車線からはみ出しそうになると警告し、ハンドル操作をアシスト。高速道路での“うっかり“を防ぎます。
- 4.先進ライト(自動ハイビーム等)
対向車や先行車を検知して、自動でハイビーム/ロービームを切り替え。夜間の歩行者発見を助けます。
- 5.駐車支援(全周囲カメラ/自動駐車)
首が回りづらくなってきた方にとって、全周囲カメラは“目の代わり“。狭い駐車場でのストレスを大幅に軽減します。

「サポカー」と「サポカーS」:国が定めた安全性の”ものさし”
「どの機能が必要か分からない」という迷いを一撃で解消する枠組みが、サポカー制度です。
- ● サポカー:衝突被害軽減ブレーキを搭載した車
- ● サポカーS:上記に加え、ペダル踏み間違い急発進抑制を装備
- ● サポカーSワイド:さらに車線逸脱警報・先進ライトも搭載
高齢ドライバーには、最低でもサポカーS、できればワイドを基準にすることで、踏み間違い対策が漏れにくくなります。
ただし注意点もあります。先進安全技術はあくまで“支援“であり、路面状況や気象条件によっては作動しない場合もあると公式に明記されています。過信は禁物です。

JNCAP(自動車安全性能評価)で候補を”点数”で絞り込む
「安全な車」を感覚ではなく数字で比較できるのが、JNCAPの強みです。
JNCAPでは、衝突安全・予防安全・事故自動緊急通報の3項目を総合評価し、最高評価を獲得した車には**「ファイブスター賞」**が授与されます。NASVAのウェブサイトでは、年度ごとの評価結果を検索でき、直近の高評価車も確認可能です。
参考:JNCAP高評価車の例
2023年度総合ランキングTOP5
- スバル クロストレック/インプレッサ
- トヨタ クラウン(クロスオーバー/スポーツ)
- マツダ CX-60
- ホンダ ZR-V
- レクサス RX
2020〜2021年度ファイブスター賞獲得車(一部)
- スバル レヴォーグ
- スバル レガシィアウトバック
- トヨタ ハリアー
- ホンダ ヴェゼル
ランキングは年度や評価基準で変わるため、「最新年度の評価」と「自分の使い方」の両方で判断するのがコツです。

見落とされがちな”本当の安全”:乗り降りと運転のしやすさ
衝突安全ばかりを重視すると、車体が大きく重い車を選びがちです。しかし高齢ドライバーにとって、事故の入口は意外なところにあります。
日常で起きる“つまずき“が事故を呼ぶ
- 駐車時に焦って操作ミス
- 右左折時に首が回らず、死角を見落とす
- 乗り降り時にふらついて転倒
ステップ高45cm未満が乗り降りのしやすさの目安とされています。高すぎると足を上げる動作が負担になり、転倒リスクが高まります。
運転のしやすさ=事故の起きにくさ
- 小回りが利く:狭い道や駐車場でストレスが減る
- 視界が良好:Aピラー(フロントガラス横の柱)が細く、死角が少ない
- 操作がシンプル:複雑なタッチパネルより、物理スイッチの方が誤操作しにくい
安全装備が充実していても、日常の運転が苦痛になる車では、結果的に事故リスクが高まります。

ファミリー目線で見る”家族を乗せる安全”
孫の送迎や、親の通院送迎がある家庭では、乗る人全員の安全を考える必要があります。
チェックポイント
- 後席の乗降性:スライドドアは開口部が広く、狭い駐車場でも安全に乗り降りできる
- チャイルドシートの取り付けやすさ:ISOFIXなら固定が簡単で確実
- 荷室の使い勝手:ベビーカーや車いす、買い物袋を積む導線
JNCAPでは、チャイルドシートの安全性・使用性評価も実施されています。ファミリーカーを選ぶ際は、この評価も参考になります。

タイプ別:高齢者に向く”おすすめ候補”の見つけ方
ここでは「この車が正解」ではなく、**「どんな人にどのタイプが向くか」**で整理します。
①軽自動車:小回り重視・近距離中心
向く人:狭い道や駐車が多い/運転が怖くなってきた
メリット
- 取り回しの良さ(最小回転半径4.5m前後)
- 維持費の安さ(税金・保険料)
- 軽自動車でもファイブスター賞を獲得した車種がある
デメリット
- 高速道路や横風で疲れやすい場合がある
- 車体が軽い分、衝突時の安全性は普通車より劣る傾向
②コンパクトカー:安全装備と扱いやすさのバランス
向く人:日常使い+たまに遠出/燃費も重視したい
代表例:トヨタ ヤリス/アクア(JNCAP高評価獲得車)
メリット
- 視界とサイズのちょうど良さ
- 普通車の安全装備を備えつつ、運転しやすい
デメリット
- 後席や荷室が家族構成によっては不足
③ミニバン:ファミリー同乗・乗降の安全(スライドドア)
向く人:家族送迎が多い/親の乗降を手伝う機会がある
代表例:日産 セレナ(JNCAP高評価車種)
メリット
- スライドドアで狭い場所でも安全に乗降
- 車いすやベビーカーの積み込みが楽
- 3列シートで大人数にも対応
デメリット
- 車体が大きく、駐車ストレスが増える可能性
- 運転に慣れが必要
④SUV/クロスオーバー:視界の高さは魅力、ただし“取り回し“要確認
向く人:見下ろす視界で安心したい/長距離も走る
メリット
- 高い着座位置で視界が広い
- 悪路や雪道での安定感
デメリット
- 車体が大きいと小回りが利かない
- 乗降時のステップが高い車種もある

中古車で買うなら:安全性で絶対に外さないチェックリスト
中古車は価格メリットが大きい反面、**「同じ車名でも年式・グレードで安全機能が別物」**というリスクがあります。
必ずチェックすべき7項目
- 衝突被害軽減ブレーキ(対歩行者まで対応しているか)
- ペダル踏み間違い急発進抑制(前進・後退両方に対応か)
- 車線逸脱警報/車線維持支援
- 先進ライト(自動ハイビーム等)
- 駐車支援(全周囲カメラ・自動駐車)
- 事故自動緊急通報装置(eCall等)
- JNCAP評価年度(新しいほど現代の事故形態に対応)
重要:「装備がある」だけでなく、「どういう場面で作動する想定か」(交差点右左折、夜間歩行者検知など)を販売店で確認しましょう。

それでも不安が残るなら:”福祉車両”という選択肢
高齢者の安全は、運転中だけではありません。買い物・通院・デイサービスへの移動そのものが負担になるケースもあります。
歩行が困難になってきた、または将来的にその可能性がある場合、車いす対応や乗降補助を前提に設計された福祉車両という選択肢があります。
福祉車両のメリット
- 乗降時の転倒リスクを大幅削減(回転シート、電動ステップなど)
- 車いすのまま乗車可能(スロープ/リフト装備)
- 介護者の腰痛・負担軽減
福祉車両を選ぶ際の“よくある迷い“
「種類が多すぎて、どれが合うか分からない」 「まず試してから決めたいけれど、どこで試せる?」 「買った後の修理や架装部品はどうすれば…」
こうした不安に対応できるのが、福祉車両専門店の強みです。
たとえば福祉車両中古専門店フクシィでは、
- 福祉車両取扱士資格保持者が生活スタイルをヒアリングし、最適なタイプを提案
- 福祉レンタカーで実際の使い勝手を試せる
- 新車・中古購入から、修理・メンテナンスまでワンストップで対応
- 専門整備士と部品在庫を備え、架装部の不具合にも即対応
という形で、「相談→試す→買う→維持」の流れを一気通貫でサポートしています。
安全な車選びは、「装備」だけでなく「乗り降りや移動の安全」まで含めて考えることで、家族全員が安心できる生活につながります。

まとめ:安全な車選びの3ステップ
ステップ1:客観指標で候補を絞る
- **JNCAP(自動車安全性能評価)**でファイブスター賞獲得車をチェック
- サポカーSワイドを基準に、踏み間違い対策が漏れないようにする
ステップ2:身体の変化に合わせて“運転のしやすさ“を最優先
- 小回り・視界・乗降性(ステップ高45cm未満が目安)
- 駐車支援(全周囲カメラ)は高齢ドライバーの強い味方
ステップ3:家族構成や将来まで見据えて最終決定
- ファミリー同乗があるなら、後席・荷室・チャイルドシート適合も確認
- 歩行困難の可能性があるなら、福祉車両も視野に入れる
安全な車とは、点数が高い車ではなく、あなたと家族の“日常のヒヤリ“を減らしてくれる車です。
この記事が、後悔しない1台選びの助けになれば幸いです。

【よくある質問】安全性の高い車についてのQ&A
Q1. JNCAPの評価が古い車でも安全性は大丈夫?
- JNCAPは年度ごとに評価基準が進化しており、古い年度の高評価車でも、現代の基準では評価が下がる可能性があります。目安として、評価年度が5年以内の車を選ぶと、歩行者検知や夜間性能など、最新の事故形態に対応した装備が搭載されている可能性が高くなります。
中古車を検討する場合は、「JNCAP評価年度」と「装備の具体的な作動条件(夜間・交差点右左折時など)」を販売店で確認しましょう。
Q2. 軽自動車は普通車より安全性が低いって本当?
- 一般的に、車体が軽く小さい軽自動車は、衝突時のエネルギー吸収力が普通車より劣る傾向があります。しかし、軽自動車でもJNCAPでファイブスター賞を獲得した車種があり、予防安全装備(衝突被害軽減ブレーキ・踏み間違い抑制など)は普通車と同等レベルのものも多くあります。
重要なのは、「事故が起きたときの安全性(衝突安全)」と「事故を起こさない安全性(予防安全)」のバランスです。狭い道や駐車が多く、小回りの良さが事故回避につながる環境なら、軽自動車の方が総合的に安全なこともあります。
Q3. サポカー補助金はまだ使える?
- サポカー補助金(高齢運転者等に対する安全運転サポート車の購入補助)は、2021年11月で終了しています。ただし、自治体独自の補助金制度が残っている場合があります。
お住まいの市区町村のウェブサイトで「高齢者 安全運転 補助金」などで検索するか、福祉課・交通安全課に問い合わせると情報が得られます。
Q4. 高齢の親に運転をやめてほしいけれど、どう説得すればいい?
- 「危ないからやめて」という感情論は、多くの場合、反発を招きます。効果的なのは、客観的な根拠を示すことです。また、「運転をやめる=自立を奪う」ではなく、「より安全な移動手段に切り替える」という前向きな提案にすることで、受け入れやすくなります。
Q5. 中古の福祉車両を買う際の注意点は?
- 福祉車両は一般車両と異なり、架装部(スロープ・リフト・回転シート等)の状態が重要です。一般の中古車店では架装部の修理ができないことも多いため、福祉車両専門店で購入すると、購入後のメンテナンスや部品調達がスムーズです。
Q6. 安全装備が多すぎて操作が難しそう。高齢者でも使いこなせる?
- 確かに、タッチパネルだらけの操作系は高齢者に不向きです。また、自動で作動する予防安全装備(衝突被害軽減ブレーキなど)は、ドライバーが操作しなくても勝手に働くため、「使いこなす」必要がありません。むしろ、意識しなくても守ってくれる装備こそ、高齢者に向いていると言えます。



