福祉車両の改造費用は?ユースケースやメリットなどを解説!
高齢者や障がい者の交通手段や介護施設通所での送迎手段として福祉車両が活用されています。
福祉車両を一般家庭で使用するには、新車もしくは中古で福祉車両を購入するかあるいは自家用車などを改造するケースがあります。しかし、福祉車両を改造する方法や福祉車両の改造費用など、分からない人もいることでしょう。
助成金や減免制度を利用すればケースによっては、福祉車両を新車で購入するより費用を抑えれる場合があります。
本記事では、福祉車両の改造費用や使用方法、おすすめの選び方などについて解説しています。
ぜひ、最後までご覧ください。
福祉車両改造の需要は?利用される場面はどんなとき?
福祉車両は、主に介護施設で送迎に活用されるため、福祉車両を個人で活用するのは、イメージしにくいかもしれません。
人によっては、個人で福祉車両を所有し、親の介護などで活用したい人もいるでしょう。
個人で福祉車両を活用する方法は、福祉車両の購入もしくは、自家用車などを改造するなどが挙げられます。しかし、改造するには、改造費用や、申請書類などが必要になるため、導入を考えた段階で断念する場合もあります。
普通の自動車と違い福祉装備を搭載することになるので、改造期間がかかります。
改造費用については補助金や減免の制度を活用すれば、負担軽減につながるでしょう。
それでは、福祉車両を改造する方法や利用される場面について詳しくみていきましょう。
福祉車両を改造する方法
福祉車両を改造する方法について、下記にまとめました。
●自家用車に後付け改造する
●新車・中古車を購入し、改造する
それでは、詳しくみていきましょう。
自家用車に後付け改造する
自家用車に後付け改造する場合の主な流れを下記にまとめました。
1.問い合わせる
2.来店・現車確認を行い、改造可否判断
3.契約する
4.車両預かり・施工
5.納車
改造取扱店に事前予約し、来店・現車確認を行います。そのうえで、改造することが可能かどうかをお店が判断するため、必ずしも改造できるとは限らない点に注意しなければなりません。
改造可能と判断された場合は契約を結んだ後、車両を預かり・施工となります。そして、施工が完了次第納車というのが主な流れとなります。
新車・中古車を購入し福祉車両の改造を行う
新車・中古車を購入して、福祉車両に改造する場合の主な流れを下記にまとめました。
1.問い合わせる
2.来店・打ち合わせ
3.改造可否判断
4.契約する
5.車両到着後施工
6.納車
改造取扱店に事前予約し、来店・打ち合わせを行います。改造可否を判断し契約を結び、その後、発注した車両が到着後に施工となります。施工完了後に納車というのが、主な流れになります。
福祉車両改造の需要
福祉車両の改造をする場合は、高齢者・障がい者本人と家族で相談し、改造取扱店に所有者が申請・契約を行いましょう。
福祉車両の改造は、助成金や補助を受けられる場合があるため、負担を軽減することは可能。自家用車を改造したほうが生活の自由度や利便性は高まります。
総務省統計局によると、65歳以上の高齢者人口は、3,627万人と、前年(3,621万人)に比べ6万人増加し、過去最多となっています。
また、一般社団法人日本自動車工業会「はじめての福祉車両ガイド2019~2020」によると、福祉車両販売台数は2000年度の28,987台から2018年度には43,712台に増加しています。
※「はじめての福祉車両ガイド2019~2020」29ページ参照
高齢者や障がい者の増加傾向にあることから、今後福祉車両の改造の需要が高まっていくのではないでしょうか。
福祉車両の改造が利用される場面
福祉車両の改造が利用される場面には、色々なケースがあるでしょう。
主な改造理由などについて、下記にまとめました。
●親の介護が必要になったが自家用車に福祉装備がない
●新車・中古車を購入後に福祉装備が必要になったなど
自家用車に福祉装備がない場合は、福祉車両を購入するか、自家用車を改造するかのどちらかになるため、改造したほうがお得な場合があります。
また新車・中古車を購入後に福祉装備を取り付ける場合は、福祉装備が取り付け可能かどうか確認しなければならないため、注意が必要です。
福祉車両改造にかかる費用
福祉車両改造の需要や改造が利用される場面について理解できたところで、次に福祉車両改造にかかる費用について解説していきます。
改造する際は、装備別の費用と工賃などがかかるため契約する前に確認しておくとトラブルにならずに済み、スムーズに改造できます。
福祉装備の種類や改造取り扱い店によって費用が異なりますが、その具体的な内容を下表にまとめました。
改造の種類 | 改造料金(平均価格) |
---|---|
後付け車椅子スロープ改造 | 902,500円~(税込992,750円~/工賃込) |
後付け車椅子リフト改造 | 780,000円~(税込858,000円/工賃込) |
後付け回転シート改造 | 754,500円~(税込829,950円~/回転シート/工賃込) |
後付け回転昇降シート改造 | 2,270,650円~(非課税/工賃込) |
後付け介護リフト改造 | 780,000円~(Vリフト/工賃込) |
後付け電動ステップ改造 | 286,500円~(税込315,150円~/電動ステップ/工賃込) |
車椅子収納リフト改造 | 511,500円~(税込562,650円/工賃込) |
改造費用は取り扱い店によって異なるため、事前に費用がどのくらいかかるか問い合わせをすることをおすすめします。
福祉車両の購入・改造費用の助成金、減免を受けられる場合があります。
※お住まいの市町村により若干内容も異なるので、制度を利用する場合は、お住まいの市町村にお問い合わせください。
福祉車両の購入・改造費用の助成金、減免制度について下表にまとめました。
制度を利用できる人 | 制度を利用できる車 | |
1.消費税非課税(全国) | 誰でも利用できる | 非課税対象の福祉車両のみ |
2.自動車税環境性能割・種別割の減免(都道府県) |
①障がい者手帳1級2級をもつ方、そのご家族 ②障がい者等の送迎をする社会福祉法人やNPO法人 |
①どの車でも対象となる ②8ナンバー車いす移動車のみ |
3.市町村の補助金(市町村) | 障がい者手帳1級2級の方(所得制限あり) | 福祉車両に改造する場合や、改造した福祉車両を購入場合のみ |
4.社会福祉協議会の低金利融資 | 所得制限あり | 福祉車両への改造や福祉車両の購入の場合のみ |
5.高速道路料金の割引 | 障がい者手帳を持つ障がい者本人が運転する場合や、介護者が障がい者を乗せて運転する場合 | どの車でも対象となる |
制度によっては対象者が限定されているため、対象者かどうか確認したほうがよいでしょう。
改造費用などの負担を軽減するために制度を利用することをおすすめします。
福祉車両改造のメリット・デメリット
福祉車両を改造する際の費用や制度利用の観点からいくつか留意すべきポイントがあります。
例えば、利用できる条件や助成金制度適用の有無などが挙げられますが、その概要について下表にまとめました。
メリット | デメリット |
---|---|
・好きな車を福祉車両に改造できる ・メーカー製福祉車両にない福祉車両を作る事が可能 ・最短で1週間で改造できる(改造内容による) ・車の買い直しよりも費用が安く済む場合がある |
・搭載する福祉装備によっては改造できず車を買いなおす必要がある ・福祉改造を取り扱う店舗が遠方になり想定外な費用がかかる場合がある ・新車と違い短期間で故障などの不安要素が起きる可能性が高くなる |
自家用車や中古車など好きな車を改造できるところは大きなメリットといえます。
しかし、改造費用が高くなりやすいのが特徴です。具体的には、「福祉装備代+改造工賃+消費税」が内訳として位置づけられています。
また、予約や現車確認を事前にする手間を考えると、億劫に感じる人もいることでしょう。お住まいの市町村に改造の取り扱い店舗がない人にとっては、使いにくいサービスといえます。
そもそも、自家用車や中古車の場合は福祉車両として設計されていない場合があります。
新車の福祉車両に比べると経年劣化が原因の故障などのトラブルが起きやすいため、大きなデメリットを抱えることには留意しましょう。
改造福祉車両の使用方法と選び方についても紹介
福祉車両改造の特徴やメリット、デメリットについて理解できても、福祉装備の選び方や使用方法がわからなければ意味がありません。
まずは、それらのポイントを下記にまとめました。
●福祉車両に乗る人に適した福祉装備を選ぶ
●改造する車に選んだ装備が搭載可能かどうか
●福祉装備の使用方法を確認
それでは、詳しくみていきましょう。
福祉車両に乗る人に適した福祉装備を選ぶ
改造料金は、各取り扱い店舗で異なります。
また、車椅子対応車両など各福祉装備によっては、別途料金が発生することもあり注意が必要です。さらに、店舗が遠方の場合別途交通費などがかかります。
事前に改造取り扱いがある会社・店舗のホームページや電話で料金体系の確認・問い合わせをしましょう。
改造する車に選んだ装備が搭載可能かどうか
改造する車に選んだ装備が搭載可能かどうか、改造前に確認する必要があります。
つまり、搭載したい福祉装備を選び店舗で打ち合わせする際に改造不可となる場合があるということ。打ち合わせ時に相談することをおすすめします。
また、搭載したい福祉装備の候補をいくつか事前に選んでおくと、安心して利用できるでしょう。
福祉装備の使用方法を確認
搭載したい福祉装備の使用方法を事前に調べておくとよいでしょう。
例えば、車椅子収納リフトの場合はまず電動リフトのアームからベルトを降ろして車椅子に装着します。その後、電動リフトのボタン操作で車椅子を持ち上げ、車に車椅子を収納するという流れになります。
事前に調べることで使用方法だけでなく、利用した人の体験談などさらに判断材料が増え判断しやすくなるでしょう。
わかりにくい場合は、改造依頼する店舗で直接教えてもらうことをおすすめします。
まとめ
今回は、福祉車両改造にかかる費用やおすすめの使い方、選び方などについて解説しました。
また福祉車両の改造する需要などについても紹介していますが、助成金・減免制度を活用すれば費用面の負担軽減もできるため、不便の解消を図るためにもその存在意義が大きいことがわかります。
本記事で紹介した内容を参考に、その特徴やメリット、デメリットなどから適切な場面で活用しましょう。