こどものバス送迎の運行管理は?補助金や安全徹底プランなどを解説!
保育や教育の現場では、こどもの送迎手段として送迎バスが活用されています。バス送迎をこどもが利用しているもしくは、利用していたという人もいることでしょう。
2022年に静岡県牧之原市の認定こども保育園の送迎バスにこどもが置き去りにされ、亡くなるという痛ましい事案が発生しました。このことを受けて、厚生労働省等より各地方公共団体にバス送迎に当たっての安全管理の緊急対策「こどものバス送迎・安全徹底プラン」の周知がなされました。
こどものバス送迎を安全に運行するには、職員の行動だけでなく安全装置を搭載するなど緊急対策が必要です。しかし、こどものバス送迎を安全に運行する方法や安全装置導入費用など、分からない人もいることでしょう。
補助金などの制度を利用すればケースによっては、運行する側の費用負担を抑えられる場合があります。
本記事では、こどものバス送迎の運行管理、補助金や安全徹底プランなどについて解説しています。
ぜひ、最後までご覧ください。
こどものバス送迎の運行とは?留意事項とは?
こどものバス送迎の運行管理の概要と、留意すべき場面や事項について解説していきます。
こどものバス送迎は運転手と保育士等職員が1名以上同乗し、運行されているケースがイメージできるでしょう。しかし、施設や法人によって人材不足などを理由に運転手のみで運行している場合があります。
まず、おおまかな運行の流れについてみていきましょう。
1.朝、各こどもをそれぞれの場所に送迎バスで迎えに行く
2.全員乗せてから保育園等の施設に送り届ける
3.帰宅の時間になったら各こどもをそれぞれの場所に送迎バスで送る
以上が運行の流れです。安全に運行するために何ができるのかを具体的に解説していきます。
下記にまとめました。ぜひご覧ください。
●人員を増やし朝夕の送迎をする際にこどもの所在確認をダブルチェックで行う
●出席・欠席の有無をきちんと確認する
●不測の事態に備えて安全装備を導入する
1人1人のこどもの出席・欠席をきちんと把握することが重要でしょう。出席しているにもかかわらず、所在に気づかずに記録上欠席扱いにされてこどもが車内に取り残されたケースもあります。
また出席の確認ができていてもこどもたちがバスから降りる際に所在に気づかず施錠してしまい、長時間閉じ込められる事例もあります。
それでは、安全に運行するための方法や留意すべき点について詳しくみていきましょう。
人員を増やし、朝夕の送迎をする際にこどもの所在確認をダブルチェックで行う
送迎の際にこどもの所在確認を徹底するにはいくつか方法があります。
下記にまとめました。
●運転手、職員で毎回ダブルチェック・情報共有を行う。
●こどもの見守りタグ(GPS)の導入など
それぞれ詳しくみていきましょう。
運転手、職員で毎回ダブルチェック・情報共有を行う
送迎の際に同乗の職員がこどもが乗り降りしたことのダブルチェックを毎回行います。しかし、1人の確認だけだと不確かなので、念のために運転手が送迎業務を終え送迎バスを施錠する際に再度車内を見回りします。
こどもが全員降車したことを確認して施錠する必要があるでしょう。確認したことを職員同士で共有しリスク軽減を図ることが必要です。
こどもの見守りタグ(GPS)の導入
こどもの見守りタグ(GPS)は、こどもの位置情報を定期的に保護者のスマホなどに送信し、所在確認がしやすいのが特徴です。音が出るタイプや音が出ないタイプなどいくつか種類があるため、どのタイプが良いか施設側と保護者で協議の場を設けるとよいでしょう。
出席・欠席の有無をきちんと確認する
こどもが当日出席か欠席かを明確に認識・情報共有する必要があります。
しかし、人間の記憶や行動だけでは限界があるため、保育などを対象にしたアプリやシステムを導入したほうがこどもの安全や職員の労働環境の改善にもつながります。
不測の事態に備えて安全装備を導入する
こどものバス送迎における安全装置とは、主に置き去り防止ブザーなどが挙げられます。置き去り防止ブザーの仕組みは、送迎バスのエンジンを切るとかなり大きい音が鳴り、後部座席に設置されたボタンを押すまで音が止まらないようになっています。
それによって、こどもを確認する機会を増やすことにつながります。導入することで、こどもを送迎バスに置き去りにするなどの事故を減らせるでしょう。
厚生労働省の統計によると、保育士登録者数は、2014年度の約125万人から2020年度の約167万人に増加しています。
また、厚生労働省子ども家庭局保育課の統計によると、保育所の利用申し込み児童数は2013年度の228.9万人から2021年度の290.6万人に増加しています。
保育所の利用申し込み児童数が増加傾向にあることから、今後さらに事故防止対策の強化が必要でしょう。
留意すべき事項
日々の情報共有や安全装置の導入が特に重要ですが、その他にも留意すべき場面があります。アプリや安全装置など技術の発展により、保育士や保護者の負担を軽減しやすくなっています。
しかし、基本的にこどもたちに大人が関わることに変わりはないため、保護者だけでなく職員の意識改革が必要でしょう。
こどものバス送迎する際の所在確認
こどもの送迎バスの運行管理や留意すべき事項など理解できたところで、次にこどものバス送迎する際の所在確認や安全装置の装備の義務付けについて解説していきます。
保育現場では、その日の各こどもの体調や行動など様々なデータを管理しています。
しかし、保育士などの職員が不足している傾向にあるため、利用するこどもの数によっては過酷な労働環境にある保育施設もあることでしょう。こどもの安全と職員の労働環境改善を図ることが重要です。
アプリやこどもの所在管理を効率よくできるシステムの導入をすることが、こどもの安全と職員の労働環境改善の両立を図る方法といえます。
こどものバス送迎する際の所在確認
バスでこどもを送迎する際は、乗り降りする際に〇〇君は出席、〇〇ちゃんは欠席など確認しなければなりません。職員1人で確認すると確認ミスがある場合があるので、原則2人で毎回確認するのが望ましいです。しかし、労働面での負担が増すため工夫が必要でしょう。
こどものバス送迎する際の安全を確実にするためのプラン
内閣府によると第4回関係府省会議において「バス送迎に当たっての安全管理の対策」が緊急に取りまとめられました。 その後保育園、幼稚園、認定こども園および特別支援学校幼稚部などに対して周知されました。
緊急対策の概要について下記にまとめました。
1.こどもの所在確認や安全装置導入の義務付け
2.安全装置の仕様に関するガイドラインの作成
3.安全にこどもを保育するためのマニュアルの作成
4.早期のこどもの安全対策促進に向けた「こどもの安心・安全対策支援 パッケージ」
それぞれ詳しく見ていきましょう。
こどもの所在確認や安全装置導入の義務付け
運転手・職員問わず、バスの乗車・降車時に、こどもの所在確認がしっかり行われるようにするため、府令や省令等の改正が行われ、 こどもの所在確認と安全装置を搭載することが義務付けとなることが決まりました。
安全装置の仕様に関するガイドラインの作成
安全装置を導入することが義務化されることが決まり、こどもの置き去り防止のための安全装置の仕様に関するガイドラインをとりまとめることになりました。
安全にこどもを保育するためのマニュアルの作成
送迎バスを運行する際の安全装置の導入、送迎用バス運行に当たって保育の現場に活用できる安全管理の徹底に関するマニュアルを策定します。
安全マニュアルのポイントを下記にまとめました。
●毎日使えるチェックシート
●バス送迎の業務のポイントを整理
●置き去り事故ゼロをめざす
●シンプルな構成
上記のポイントを踏まえて、マニュアルを作成することで安全管理を円滑に行いやすくなるでしょう。
こどもの安全対策促進に向けた「こどもの安心・安全対策支援 パッケージ」
保育施設等に対する支援内容を下記にまとめました。
1.送迎用バスへの安全装置導入支援
2.登園管理システムの導入支援
3.こどもの見守りタグ(GPS)の導入支援
4.安全管理を行うためのマニュアルについて動画配信することや研修実施等
それぞれの支援内容についてみていきましょう。
送迎用バスへの安全装置導入支援
車内のこども置き去りを防止する装置の装備等のために必要な改修を支援することとされています。
登園管理システムの導入支援
幼児の登降園の状況について、保護者からの連絡を容易にするとともに、職員間での確認・共有を支援するための登園管理システムの導入を支援する方針が決まりました。
こどもの見守りタグ(GPS)の導入支援
GPSを活用したこどもの見守りサービスに関わる機器等の導入を支援することも決まりました。
安全管理を行うためのマニュアルについて動画配信することや研修実施等
安全管理のマニュアルの動画配信や研修等について、下記にまとめました。
●安全管理マニュアルの理解が深まるよう、説明動画を作成するとともに研修の実施を支援
●送迎用バスに装備する安全装置の推奨リストを作成
支援を活用することで様々な面での効率化や負担軽減につながるため、各支援内容を確認し活用しましょう。
また「バス送迎に当たっての安全管理に関する緊急対策」の詳しい内容は、こちらをご参照ください。
こどものバス送迎に対する安全対策の補助金制度
こどものバス送迎の安全対策の補助金について政府は2023年1月27日に、幼稚園や保育所、認定こども園などの送迎バスの安全確保に関する関係府省会議を内閣府で開きました。 結果として、こどもの置き去りを防止する安全装置の設置が4月に義務化されることになりました。
義務化に伴い、こどもの送迎バス1台当たり17万5,000円の定額補助を行うことを政府が決定しました。
すでに設置済みの安全装置についても、静岡県での事件が発生した2022年9月5日以降に取り付けたものは、さかのぼって補助するとしています。
導入する費用の負担が大きく導入を躊躇する保育施設もありますが、補助金制度が整備されることにより負担軽減されるため保育施設にとってメリットは大きいでしょう。
また、保護者にとっても保育施設にこどもを安全に預けやすくなるため早急に導入されることが望まれます。
まとめ
今回は、こどものバス送迎の運行管理と安全徹底プランや補助金などについて解説してきました。
また緊急対策の概要などについても紹介していますが、補助金制度を活用すれば費用面の負担軽減もできます。
保育施設を運営する側のリスク軽減を図るためにも安全対策の徹底を行うことの重要性が大きいことがわかります。
本記事で紹介した内容を参考に、バス送迎やこどもを預かる業務を安全かつ適切に行うために活用しましょう。